コトバレシピ

ご飯と物語と、ときどき私。

鎌倉で朝食を

7時12分、花柄のスカートを揺らしながら、各駅停車の電車に乗った。

 

平日の朝は絶対混んでる。満員電車には、乗りたくない気分だった。私は、いつもよりだいぶ早起きして、特急に何度か追い抜かされながら進む景色をぼんやりと眺めていた。

「着いたら何を食べよう。」

前日に行きたいお店をスマホにたくさんブックマークしておいたから、直前まで迷える。

 

目的地は、鎌倉。相棒は最近買った、一眼レフのカメラだ。

本当はどこでも良かった。ただ、朝ごはんをちゃんと食べてみようと思ったのだ。ここ最近、朝ごはんを食べたくない日が続いた。そういえば、昼も夜もまともに「ご飯」と呼べるものをずっと食べてない。代り映えのしないコンビニ弁当にも飽き、自分で料理をする気にもなれず、毎日確実に疲れが増しているような気がして、何か栄養のある楽しいご飯を食べなきゃと昨日計画したての日帰り旅行だ。

 

9:00 鎌倉に着く。とてもお腹がすいた。

なんだか、おしゃれにトーストとコーヒーが食べたくなって、「カフェ ロンディーノ」へ。小さなサラダと小さなトースト、あとコーヒーをいただいた。

こういう時間が毎日あったらいいのに。結局、持ってきていた文庫本「シュガータイム」(小川洋子)を読みながら、2時間ほど居座ってしまった。

 

さあお昼だ。今日はどうやら、洋食が食べたい気分らしい。

小町通りをてくてくしながら、「café vivement dimanche」という店でオムライスという文字に惹かれる。

とろっと卵がのったオムライスを大きなスプーンでほおばりながら食べてると、子供のころの自分が目の前にいるような気分になれる。小さなわたしが「おいしい」と小さく笑った。

 

お腹はいっぱい。カロリー消費目的の散歩をしよう。

私は円覚寺明月院でカメラ小僧になる。中途半端な季節だし平日だからか、観光客はまだ少ない。少しだけ咲いてる明るい花と帽子を深かぶりした老夫婦をこっそりレンズの中に収める。

わたしの時間が、太陽の光を浴びて、さわさわと風と一緒に歌いだした。

「夕食は何を食べよう」

私は花柄のスカートを躍らせ、鎌倉駅へと向かった。

 

 

 

シュガータイム (中公文庫)

シュガータイム (中公文庫)